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私たち人間にとって、耳のお手入れは毎日の習慣かもしれません。だからこそ、「うちのワンちゃんも、毎日耳掃除をしてあげないと可哀そうかな?」「奥までしっかり綿棒で掃除してあげなきゃ!」なんて、考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
でも、ちょっと待ってください。実は、犬の耳の穴の掃除には「やりすぎ」が禁物なケースも多いんです。今日は、犬の耳掃除に関するよくある誤解を解きながら、本当に必要なケアと正しい方法について、一緒に考えていきましょう。
【よくある誤解1】「犬の耳は毎日、奥まで掃除しないと不潔?」
愛犬の健康を思うがゆえの誤解ですが、これは多くの犬に当てはまるわけではありません。
【事実】
健康な犬の耳には「自浄作用」があります。
私たちの目には見えにくいですが、犬の耳の穴(耳道)の皮膚は、常に新しい細胞に生まれ変わり、古い細胞や耳垢を外側へと押し出す働きをしています。これは、まるでベルトコンベアのように耳垢が自然と排出される仕組みなんです。この自浄作用が正常に働いている犬の場合、耳の奥まで無理に掃除する必要は全くありません。
むしろ、頻繁に耳の奥をいじってしまうと、せっかくの自浄作用を妨げたり、デリケートな耳の皮膚を傷つけたりして、かえって炎症や外耳炎のリスクを高めてしまうことになりかねません。
なぜこの誤解が生まれやすいの?
人間が毎日お風呂で耳の入り口を拭いたり、耳かきをしたりする習慣があるため、「犬も同じように清潔に保つべきだ」と考えがちだからかもしれませんね。また、市販の犬用耳掃除用品の多さから、「たくさん使ってしっかりケアしなきゃ」という気持ちになるのも理解できます。
【よくある誤解2】「耳垢が見えたら、綿棒でグリグリ取ってあげないと!」
これも、愛犬を心配するからこその行動かもしれませんが、大変危険な誤解です。
【事実】
綿棒は、耳の奥に汚れを押し込んだり、耳道を傷つけたりするリスクがあります。
耳の穴の奥は、私たちから見えにくいだけでなく、非常に繊細な構造をしています。特に犬の耳道はL字型に曲がっており、綿棒で奥まで入れようとすると、汚れをさらに奥へと押し込んでしまったり、鼓膜を傷つけてしまったりする恐れがあります。
では、どうすればいいの?
耳の掃除は、基本的に目に見える範囲の汚れを優しく拭き取るだけで十分です。
【正しい耳掃除の方法】
* 使うもの: 動物用の耳洗浄液(獣医師に相談して適切なものを選びましょう)と、柔らかいコットンを用意します。人肌程度に温めておくと、犬が嫌がりにくいですよ。
* 拭き方: コットンに耳洗浄液を少量しみ込ませ、耳の内側や耳の穴の周りなど、**目に見える範囲の汚れを毛の流れに沿って優しく拭き取ります。**決して奥に綿棒などを入れないでください。
* ご褒美: 耳を触られることに慣れさせるため、掃除の後はたくさん褒めて、おやつをあげるなど、楽しい経験と結びつけてあげましょう。
【獣医師の指示がある場合】
外耳炎などで獣医師から指示があった場合は、耳洗浄液を耳の穴から液面が見える程度に入れ、耳の付け根を優しくマッサージし、頭を振らせて汚れと洗浄液を出させます。出てきた液体と汚れをコットンで拭き取りますが、これは獣医師の指導のもとで行うべき方法です。
【では、どんな時に耳掃除が必要なの?】
健康な耳であれば基本的に過度な掃除は不要ですが、以下のような場合は定期的なケアや、時には獣医師の診察が必要になります。
* 垂れ耳の犬種(例:チワワ、アメリカン・コッカースパニエルなど): 通気性が悪く、湿気がこもりやすいため、汚れやすい傾向があります。
* 脂漏症や耳垢腺の過形成がある犬: 体質的に耳垢が出やすい犬です。
* 耳道が狭い犬: 構造的に汚れが溜まりやすい場合があります。
* 外耳炎などの耳のトラブルがある場合: 獣医師の指導のもと、適切な治療とケアが必要です。
これらのケースに当てはまる場合でも、「頻度」と「方法」は獣医師に相談して決めるのが最も大切です。健康な犬であれば、数週間に1回程度の耳のチェックと、目に見える範囲の軽い拭き取りで十分なことがほとんどです。垂れ耳や脂漏体質の犬でも、月1~2回程度が目安となることが多いでしょう。
大切なのは「観察」と「異常の早期発見」
犬の耳のケアで一番大切なのは、過剰な掃除ではなく、日頃から耳の状態をよく観察することです。
* 強い臭いがする
* 黒っぽい、または黄色い耳垢が大量に出る
* 頻繁に耳を掻いたり、頭を振ったりする
* 耳の周りが赤く腫れている、熱を持っている
* 耳を触られるのを嫌がる
このような異変に気づいたら、決して自己判断で奥まで掃除しようとせず、早めに動物病院を受診してください。早期発見、早期治療が、愛犬の耳の健康を守る一番の方法です。
うちのチワワも、今朝散歩から帰ったらカーペットに耳を擦り付けて痒そうにしていましたので、耳をウェットティッシュで拭き取ってあげたら収まりました。湿度が高く暑い時期は特に蒸れるので、少し短い頻度にしても良さそうですね。
愛犬の耳の健康は、日々の少しの気遣いと、時にはプロの助けを借りることで守られます。正しい知識を持って、大切な家族であるワンちゃんとの快適な毎日を過ごしましょうね。

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