この記事を読んでくださっているということは、おそらくペットと暮らしている、もしくは動物が大好きな方ではないでしょうか。
「もし自分に何かあったら、この子はどうなるんだろう?」
特に、もしそのペットが希少種だった場合はどうでしょう?
ペットと暮らすすべての方に知っておいていただきたい、大切なお話です。
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ペットは「家族」だけど、法律上は「物」?
まず大前提として、ペットは法律上、「人」ではなく「物(財産)」として扱われます。
これは民法上の分類であり、決して「感情を持つ存在として尊重されない」という意味ではありません。
とはいえ、ペットと暮らしている方にとってはショックを受ける内容かもしれませんね。
私自身も初めて知ったときは、かなり驚きました。
つまり、ペット自身が財産を相続することはできません。
人間のように法定相続人にはなれないのです。
高額なペットは「相続財産」になる可能性も
もしあなたのペットが、たとえば血統書付きで高額だった場合や、希少な種類で高い市場価値がある場合はどうでしょうか?
法律上、ペットは動産とみなされるため、財産評価の対象となる可能性があります。
ただし、実務では「評価が難しい」「譲渡が前提ではない」などの理由で、相続税申告においてはゼロ円評価とされることも少なくありません。
しかし注意すべきは、事業用として多数の動物を飼育している場合。
たとえばブリーダーやペットショップ経営者などが保有するペットは、棚卸資産や固定資産として課税対象になるケースもあるのです。
つまり、「趣味」なのか「事業」なのかが分かれ道になります。
遺言がなければ、ペットの行き先は宙ぶらりんに
想像してみてください。
一人暮らしの飼い主が亡くなり、猫が1匹残されたとします。
法定相続人が複数いた場合、「誰が引き取るのか」は、法律上明確には決められていません。
結果として、猫は「財産分割の対象」とされ、遺産分割協議で話し合われることになります。
このとき、相続人全員がペット好きとは限りませんし、面倒ごとを避けて「誰も引き取りたくない」となるケースもあります。
こういった状況は、ペットにとっても非常に不幸です。
最悪の場合、行き場を失って保健所に送られてしまうことも…。
飼い主が備えておきたい3つの対策
では、ペットの将来を守るために、私たち飼い主ができることは何でしょうか?
ここでは、現実的かつ法的に有効な3つの方法をご紹介します。
1. 信頼できる人を決めておく
まずは、親族や信頼できる友人に「自分に何かあったらこの子のことをお願いしたい」と、あらかじめ伝えておくことが大切です。
可能であれば、書面にしておくと安心感が増します。
2. 遺言書を作成する
もっとも確実なのが、ペットの世話を条件に金銭を遺贈する「負担付き遺贈」です。
たとえば、「友人の○○に100万円を遺贈し、その条件としてうちの犬の世話をお願いする」といった形にできます。
これにより、ペットの世話と経済的な負担をセットで依頼できるため、引き受ける側の安心にもつながります。
3. ペット信託の活用
もう少し制度的にしっかり備えたいという場合、「ペット信託」という方法もあります。
これは、信託契約を用いて、飼い主の資産の一部をペットの飼育費として活用する仕組み。
専門家による設計が必要ですが、透明性が高く、ペットの将来を制度的に守れる方法です。
「法律は冷たい」だけでは終わらせないために
法律は、ときに現実の感情とずれているように見えるかもしれません。
ペットを「物」として扱うと聞くと、違和感を覚える人も多いでしょう。
でも、その法律の枠組みを知った上で備えをしておけば、大切な命を守ることができます。
「うちの子を守れるのは、自分しかいない」
その思いこそが、最も強い法的効力だと私は思います。
おわりに
今回は、「ペットは相続できるのか?」というテーマを通して、法律と感情のあいだを少しだけ橋渡しできたらと思い、記事を書きました。
ちょっと堅い内容だったかもしれませんが、最後まで読んでくださったあなたは、きっとペットへの愛情が深い方なのだと思います。
そんなあなたにこそ、ぜひ「うちの子の未来」について考えるきっかけになれば嬉しいです。
※この記事は一般的な法的情報をもとに作成しています。実際の相続対策は、専門家(行政書士・弁護士・税理士等)への相談をおすすめします。
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