こんにちは、行政書士"見習い"のかなたです。
今回は、私たちにとってとても身近な存在、ペットの「法的地位」について考えてみたいと思います。
「うちの子は家族同然!」──そんなふうにペットを想う方は多いはず。でも、実は日本の法律では、ペットはまだ「物」として扱われています。
「え?物なの?」と思った方、ぜひ最後まで読んでみてください。
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日本では、いまだに「モノ」として扱われているペット
日本の民法第85条には、「この法律において“物”とは有体物をいう」とあり、動物もこの「有体物」に含まれています。つまり、ペットは冷蔵庫やソファと同じように「所有権の対象」とされているのです。
これは、明治時代に民法が制定されたときの考え方を引きずっており、経済財としての動物観が色濃く残っています。しかし、現代の私たちは、ペットを感情を通わせる「家族」として受け入れているはずです。
この法的ギャップが、現実の暮らしとの間でトラブルを生む原因にもなっています。
海外では変化が進んでいる
一方で、海外では動物の法的地位を見直す動きが加速しています。
たとえばフランスでは2015年、動物を「感情を持つ存在(être vivant doué de sensibilité)」として法的に定義。ポルトガルやドイツ、スイスなども同様に、動物を単なる「物」ではない存在として認め、虐待や遺棄に対する法的保護を強化しています。
この背景には、「動物は痛みや恐怖を感じる」という科学的知見や、動物福祉の観点が深く関わっています。
日本でも法改正の機運が高まっている理由
では、なぜ今、日本でもペットの法的地位を見直そうという声が高まっているのでしょうか?その背景には以下のような社会的変化があります。
① ペットの「家族化」
核家族化や高齢化が進むなか、ペットは多くの人にとって精神的な支えとなっています。実際、ペットがいることでストレスが軽減されたり、認知症予防になるという研究結果もあります。
② 相続や離婚時のトラブル
ペットが「物」とされているため、飼い主の死後に相続対象となったり、離婚時に家具と同じように「分割」対象になるケースも。感情的なトラブルや法的なグレーゾーンが多く、ペットの福祉が後回しにされがちです。
③ 動物虐待・遺棄への社会的関心
SNSや報道を通じて、動物虐待への批判が強まる一方、現行法では「器物損壊」としてしか扱えない場合もあります。ペットの法的地位を見直すことは、こうした問題の予防にもつながります。
④ 国際的な圧力
動物福祉への対応は、国際的な評価にも関わってきます。観光業や輸出入の観点からも、日本が遅れをとるわけにはいきません。
法律が変われば何が変わる?
仮に、ペットの法的地位が「家族」に近づいた場合、どんな変化があるのでしょうか?
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相続や離婚時に配慮される
面会交流、養育義務、費用負担など、ペットの生活を守る法的枠組みができる可能性があります。 ※現行民法では法的根拠がなく実現不可能 -
虐待や遺棄に対する罰則の強化
現在でも動物愛護法により罰則はありますが、ペットが「物」である限り、その扱いには限界があります。法的地位が明確になれば、より実効性のある保護が可能になります。 -
ペットの権利が認められる未来
ヨーロッパでは「動物の権利」概念が拡がりつつあります。日本でも、将来的にペットの権利保護が制度化されるかもしれません。
もちろん、課題もある
「ペットを家族と認める」というのは感情的には納得できますが、法的には慎重な議論が必要です。
たとえば、扶養義務・管理責任・医療的判断の優先権など、「家族として扱う」ためには膨大な制度設計が必要です。
それでも、ペットとの共生社会を目指すなら、この一歩は避けて通れません。
あなたにとってペットはどんな存在ですか?
法律の目から見れば「モノ」でも、私たちにとってペットはかけがえのない家族。
「法律は社会の鏡」と言われます。ならば、私たちの価値観が変われば、法律も変わるはず。
ペットと共に生きる未来のために、今、できることから考えていきませんか?
ご意見や感想も、お気軽にコメントしてくださいね。
参考:
法律からみる動物問題 https://www.jaws.or.jp/wp-content/uploads/2024/12/8f43a48aa017b433da06de598c0a0a4e-1.pdf
動物の法的地位に関するフェイヴァー理論の検討 https://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/hermes/ir/re/30225/hogaku0180102150.pdf
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